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市販薬の買い方が変わる!?MDVコンシューマー・ヘルスケアの未知のサービス

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ビッグデータで市販薬を変える

先進的過ぎるサービスというのは、誰も類似品を見たことがないゆえに、他人にうまく説明することができないらしい。巷の書籍で読んだそんなクダリを、いま実感している。

なんだかよくわからないサービスが、今年、市販薬市場に登場する。あえて説明するなら、ビッグデータを元に潜在的な需要を掘り起こして、新しい市販薬の商品開発を行うということになるが、これではおもしろさがぜんぜん伝わらない。

このサービスを始める会社は、専門誌「ダイヤモンド・ドラッグストア」の4月号に広告記事に紹介されていた。

市販薬の買い方が変わるかもしれない。

ダイヤモンド・ドラッグストア2017年4月号

ダイヤモンド・ドラッグストア2017年4月号

 

 

 

 病院のデータを市販薬販売に使う

www.mdv-chc.co.jp

新サービスを始めるのは「MDVコンシューマー・ヘルスケア」(以下MDVコンシューマー)という、ビッグデータを扱う会社だ。今年2月に設立したばかりの、できたてほやほやの新会社。同社では、医療のビックデータを元に、新しい商品を開発する。

なにが、どう画期的なのか?それは、同社が”病院”のビッグデータを使うところにある。

市販薬の新商品を世に出す場合、ドラッグストアや製薬会社が主に活用するのは、店頭での商品の販売データと、消費者調査のデータだ。簡単にいうと、売場で何が売れているか、お客はどんなものがほしいか、そういった調査から、新商品のニーズを把握していく。

MDVがユニークなのは、そこにもう一つ、”診療データ”を加えることだ(※1)。病院の診療データというのは、年齢や疾患、性別など非常に細かく記録されている。物販データなどからではわからない情報をたくさん得ることができる。

同社の説明によれば、たとえば解熱鎮痛薬Aを、病院での使用目的別に分析したり、Aを処方されている患者の年齢層をデータ化したりする。その結果、特定の疾患に悩む特定の年齢層が、市場ニーズとして浮かび上がってくる。それらのデータを元に、ターゲットを絞り込んだ商品を開発できるという。

 

従来の市販薬のマーケティングに欠けた「統計的・科学的洞察」

ビックデータを元に商品開発を行う。それ自体は珍しくない。顧客データを元に商品開発を行っている企業はすでにある。

ドラッグストア業界で最もビックデータ活用に積極的な会社と言えば、マツモトキヨシだとぼくは思っているのだけど、そのマツキヨは昨年8月、ビックデータの顧客情報を使い、マツキヨオリジナルの目薬「ファーストマイティアCL-G」を開発している(※2)。

MDVコンシューマーのすごいところは、”病院の診療データ”という、いままでにない情報資源を活用していることだ。記事広告で本多功征社長は、

従来のOTCは「医薬品」でありながら「モノの動き」と「ヒトの気持ち」のマーケティングが主流であり、薬剤(投与)の規則性や集団を対象とした、疾病の秩序、いわゆる疫学について統計的・科学的に立証された根拠に基づく洞察はあまりなされてこなかったように感じます。

と、自身の問題意識を語っている。

 

国内最大規模の医療情報

ところで、MDVコンシューマーは、どうして病院の情報を持っているのか?

実は、同社の親会社であるMDV(メディカル・データ・ビジョン)が、大規模な診療データを蓄積・分析、システム開発している会社なのだ。同社が抱えるデータベースは国内最大規模の1700万人で、開発されたシステムは800近い病院で導入されているという(※3)。MVDが市販薬市場に新規参入するために設立したのが、MVDコンシューマーというわけ。

www.mdv.co.jp

 

「お墨付き認証」で、セルフ販売が加速か

MDVのユニークな点がもう一つある。

同社は「EVIDENCE force」という独自の認証制度を作る。MDVが持つ大規模な診療データベースを元に、一定基準を満たしている製品は、お客にメリットが確保された製品であるとして「EVIDENCE force」を認定してマークを与えるらしい。非常にわかりやすいブランディング戦略が成功したら皆の市販薬の買い方が変わるだろう。薬剤師に相談せずに、セルフで購入するお客が増えることは想像に難くない。

その是非はここでは触れないが、同社のビッグデータを元に作った市販薬は、今年の秋に第一弾が投入される予定(※3)。前出の専門誌では、MDVコンシューマーの本多社長と、ウエルシア薬局執行役員商品本部副部長の桐澤英明さんが対談をしている。ということは、ウエルシアで始まる可能性が高い。

 

 病院の処方は適切なのか?

最後に、ぼくが記事広告を読んでいて感じた不安な点を一つ。

診療データベースに基づく商品開発にしろ、「EVIDENCE force」という認証マークにしろ、そもそも病院で処方される薬が適切であるという前提で話が展開されている。

これはどうだろうか?

たとえば、いま全国の病院では風邪の患者に抗生物質の飲み薬がたくさん処方されるわけだが、この診療データをもとに仮に抗生物質の市販薬を開発したら、「EVIDENCE force」という認証がつくのだろうか(いまのところ市販薬で抗生物質の飲み薬はないのだが)。これは、風邪には抗生物質を使わないという世界基準に反することになる。

関心は尽きないが、第一弾の医薬品が登場する今秋を待ちたい。

 

※1処方をもとに市販薬を販売する方法は試みとして存在した

※2http://www.matsumotokiyoshi-hd.co.jp/news/data/399064ebfeb653b036424071debd1b4e.pdf

 ※3ダイヤモンドドラッグストア2017年4月号