『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

パブロン親戚多すぎ問題【2023/8/21~8/25のニュース】

今週は大正製薬から怒涛の新商品発売ラッシュとなりました。ぜーんぶ風邪薬で、8月22日発売です!

「パブロンセレクトT」

「パブロンセレクトC」

「パブロンセレクトN」

「パブロンエースPro-X」

「パブロンS」

すごいですねえ。それぞれ成分が異なります。ざっと見ていきましょう。

まず、「パブロンセレクト」シリーズ。これは新しいネーミングのシリーズです。のど、せき、はなの3症状のそれぞれに対して選べる薬です。例えば咳がつらいならパブロンセレクトC、といったぐあいです。これとよく似たシリーズで、今まで「パブロンメディカル」シリーズがありました。こちらのシリーズに各種1成分ずつ追加されていますので、メディカルの後継がセレクト、といっていいでしょう。現時点ではメディカルが消える(製造終了)のアナウンスはありませんが。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230823001375.html

続いて、「パブロンエースPro-X」。ProからPro-Xになり、成分はメチルエフェドリンがプソイドエフェドリンになりました。鼻詰まり症状重視になったような構成です。パワーアップというよりも、方向性を少し変えたような新商品です。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230822001374.html

最後が「パブロンS錠」「パブロンS微粒」。一番スタンダードで、服用可能年齢の幅も広い薬です。なんと微粒は1才、錠剤は5才から服用できます。ただ、シンプルな成分構成ではないので、特別幼児向けというわけでもない薬。もともと「パブロンSα」という薬があり、その後継という位置づけでしょう。成分はカフェインが抜かれて、そのほか2成分が入れ替わりましたが、大きな変化はありません。なお既存の「パブロンSせき止め」「パブロンSゴールドW」とは別物です。ややこしい...。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230824001376.html

いかがでしたでしょうか。パブロンには親戚がたくさんいます。成分も異なりますし、服用できる年齢の幅も異なります。薬剤師としてみると、本当にこんなに必要なのかな?というのが素朴な疑問でありますが、それはまた別の問題ということで・・・。

ただ、一言だけ大正製薬さんに言わせていただくと、新商品が発売したら、それまでの製品との違い・比較は明記してほしいところです。これって、商品として当たり前のことだと思うんですけど?

どれがいいのか迷ったら、薬剤師または登録販売者に相談してください。

 

さて、その他の情報です。とにかく今週は新製品情報が盛りだくさんでした。こんなに集中することは、そうそうありません。

薬剤師的に1番のビッグニュースは、「ロキソニン総合かぜ薬」が製造販売承認を取得したことでしょう。発売日は未定ですが、秋くらいではないでしょうか。ロキソニン成分が入った総合風邪薬。もちろん日本初。全5成分配合です。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/release/loxonin230822.html

「ロキソニンS温感テープ」が8/29新発売します。じわっと温かいロキソニンテープ。箱の見た目が鮮やかです。成分は鎮痛成分のロキソプロフェンと、血行促進温感成分「ノナン酸バニリルアミド」です。これでロキソニンテープは、通常・EX・温感の3種類になりました。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/release/loxonin-ext230822.html

また、「システィナCII」が「システィナC」のリニューアル品として9/22新発売。リリースによると、糖衣錠からフィルムコーティング錠にしたことで、錠剤が薄く小さくなったとのこと。飲みやすくなり、成分は変更なし。こういう比較はわかりやすいです。パブロンも見習ってほしいです。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/release/cystina230822.html

最後に、アンパンマンの風邪薬が正式にリリースされました。8/22全国発売ですが、一部の店舗では前倒しで販売されてました。ながく店頭からその姿を消していた、アンパンマン風邪シロップ。帰ってきたアンパンマンのイラストは、なんと白衣&聴診器姿です。どうやら彼は医学部に通っていたようです。今までパッケージで一緒にいたバイキンマンは行方しれず、メロンパンナちゃんはたぶん薬学部に行っているのでしょう。

中身の成分は以前と変更なし。ただし、市販の子供薬の成分には従来から否定的意見を持つ医師もいます。購入前に店頭で相談するのもいいでしょう。

薬効成分とは直接関係はありませんが、白衣姿と聴診器のイラストは、広告としてよくセーフだったなあと、ちょっと感心しました。薬の広告のガイドラインでは、白衣を着た医療職を思わせる人が広告することは、医療者の推薦にあたるのでNGとされています。アンパンマンは「人」ではないからいいのか、アンパンマンのセリフが「いっしょになおそうね」とプレーンだからいいのか、薬事の観点から興味深い一品でもあります。

https://www.ikedamohando.co.jp/pdf/20230822_01.pdf

番外編としまして、値上げの情報です。鼻スプレーのナザールを頻繁に使っている、全国のナザラーのみなさま。物価高の影響を受けて、9/1から値上げされます。長く使ってしまっているかたは、これを機に脱ナザラーを試みてはいかがでしょうか。もともと、ごくごく短期間だけ使うようなお薬です。ナザールは、クセになると手放せなくなる成分が含まれてます。ご注意ください。

https://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2023/230821/