『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

市販薬の過剰摂取、搬送患者の7割が「家族と同居」【2023/8/14~8/18のニュース】

「市販薬の過剰摂取、搬送患者8割が女性 依存・乱用恐れ」というニュースが、8/16日付の日経で報じられました。厚労省のデータベースで今年6月に公開された調査結果で、近年、関心が高まっている市販薬の過剰摂取の実態を調べたものです。

https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/165692

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE167FN0W3A810C2000000/

さいきん、風邪薬を買うと店員さんから「ほかのお店で購入してませんか?」と聞かれることがあると思います。「ほかのお店で買わないで、うちのお店で買ってね!」という意図ではありません。今年の4月から、ほとんどの風邪薬は一人1点までの購入、しかも店側は販売時に、他店での購入状況をお客さんに確認しなさいと、厚労省からお達しがきたのです。もし、これをやっていないお店が近所にあったら、それは店員とお客さんがよほど阿吽の関係か、もしくは店側に法令を守ろうという意識が薄い、もっといってしまうと、お客さんの健康を害する市販薬の乱用問題に関心のないようなお店かもしれません。

さて、冒頭の調査ですが、記事は「女性が8割」という性差を強調していますが、個人的にぜひ注目いただきたいのは、搬送患者の居住環境です。記事では触れられていませんが、元の調査報告によると、救急搬送者のうち、「家族と同居」が70%で、一人暮らしはわずか14%でした。いかがですか?少し意外と感じるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。苦しんでいるのは本人だけではないはずです。拙著でも書きましたが、乱用問題は個人の問題ではありません。家族の問題、ひいては社会の問題とも言えると私は思います。

 

今週のニュースをもう1つ。大正製薬からVIO処理向けの市販薬「クリニラボ VIOLAOケア」が10/3発売。かゆみ、かぶれに使う塗り薬です。成分に特色があるわけではありませんが、目立ちにくいシンプルなデザイン、さらっとしたクリームといった配慮が特徴。時代を感じさせる一品です。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230817001371.html

VIO脱毛とは女性のデリケートゾーン等の脱毛処理の総称です。露出の多い夏に需要が高まります。VIO脱毛後のかゆみなどが増えているとされており、ロートのフレディも、小林製薬のフェミニーナもVIOに使えることを謳っています。

フレディ https://jp.rohto.com/flady/product/

小林製薬 https://www.kobayashi.co.jp/brand/feminina/trouble/

VIO処理している女性は結構多いような、というのが私の個人的な感覚です。皮膚トラブルには、脱毛後に赤くブツブツなってしまう毛嚢炎(のうもうえん)などがあるようです。VIOと皮膚疾患というテーマでは、今回まとまった資料が見つかりませんでした。ユニークな報告が一報ありました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jburn/47/3/47_101/_pdf/-char/ja