『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

肝斑治療薬「トランシーノ」が新改良で「ナイアシン」プラス【2023/11/27~12/1のニュース】

30代から50代後半の女性に現れやすいシミの一種、「肝斑」。ほほ骨に沿って、左右対称に広がるのが特徴です。この肝斑の治療薬である「トランシーノⅡ」が来年3月にリニューアルされて「トランシーノEX」として発売します。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/release/transino-ex231127.html

新しくなるトランシーノは、従来からの成分に「ニコチン酸アミド(ナイアシン)」を追加配合したものです。ナイアシンという言葉にピンとくる人もいるかもしれません。近年はエイジングケアの成分として美容業界で注目されています。 

ニコチン酸アミドは、シミ関連の市販薬によく配合されている成分のひとつで、肌を正常な状態に近づける働きがあると考えられています。古くからある成分ですが、近年でも意外と多くの論文が発表されています。美容領域で使用されることの多い成分なので、研究の需要があるのでしょう。ただ、研究対象は化粧品のように、主に塗るタイプがほとんど。トランシーノのように飲むことでの効果を示す近年の研究データは、あまりない印象です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34439563/

トランシーノは肝斑治療を目的とした、日本で唯一の市販薬です。初代は2007年に「トランシーノ」として発売。当時は1日3回服用でした。2014年に、成分はそのまま、1日の服用回数が3から2回になった「トランシーノⅡ」が発売されて、これが現行品となっています。そこにニコチン酸アミドを追加配合した「トランシーノEX」が来年発売されるというわけです。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/release/2007/pdf/0822transino.pdf

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/content/000035926.pdf

17年かけて、服用回数の変更と、1成分の追加。ちょっと寂しい進化のスピードです。医薬品は承認などの手続きが大変なので、時間もコストもかかります。トランシーノにかぎらず、市販薬は規制が厳しいので、なかなか新機軸を打ち出せない、おまけに市場もそれほど大きくない、という背景があるのでしょう。どんどんリニューアルして、ばんばん新商品が発売される化粧品とは大違いです。

最後に、マイナビの記事「肝斑改善薬「トランシーノ」10年ぶりのリニューアルを発表 - ナイアシンアミド配合の開発秘話も聞いた」から引きます。

https://news.mynavi.jp/article/20231201-2830437/

「錠剤サイズを同等に保つことはもちろん、同等サイズで固められたとしても錠剤として安定した品質を持たせることが難しさがある一方、服用を継続することで肌改善が見込める中"飲みにくさ"により服用を中断してしまうユーザーを減らすべく、製薬会社としてのノウハウ、錠剤を多く扱う企業としての技術をもとに試行錯誤を重ね実現できたことだと力強くと語りました」

ちなみに私は、トランシーノの洗顔を使ってます(あとカネボウの「suisai」)。トランシーノは突っ張らないし、泡立ちもいい。suisaiはなんと言っても香りが良くて好きです。

 

 

最後にそのほかのニュースです。

・大正製薬が肥満の薬アライのサイトを開設。

https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20231127001440.html

・先週の話になりますが養命酒が自社サイトで漢方薬の販売を開始。第一弾は当帰芍薬散。

https://www.yomeishu.co.jp/ir/library/material/pdf/20231121_mainichiyojo365.pdf

「初」とありますが、発売は9月とも書かれており、詳細はちょっと不明です。ただ、こうして各社が自社で漢方薬をネット販売することが増えてきたように思います。例えば大正製薬は積極的です。売る側にとっては、漢方薬はネット販売と相性が良いのでしょう。