病院で処方される薬が足りない。薬不足を報じるメディアが最近、増えています。例えば毎日新聞は、17日付で「深刻…風邪薬が足りない 後発薬推進政策めぐる構造的問題」と題した特集記事を書きました。
https://mainichi.jp/articles/20231017/dde/012/040/010000c
NHKや民放でも、同様の様子が、この1週間で報じられています。
薬局の薬が足りない状態は、もうずっと、です。全ての薬が足りないわけではなく、現在は記事にあるような咳止めや痰切りなどの一部の薬が、入荷しない状態です。
公的医療保険を利用した病院の薬が品不足になり、それに引きずられて処方箋の要らない市販薬も入荷が滞っています。
ただ、実際にドラッグストアの棚を見ると、風邪薬がたくさん置いています。咳止めや痰切りの薬は、市販薬でも欠品していることが多いのですが、パブロンやルルといった、咳止めから解熱成分までオールインワンで配合された風邪薬は売っています。
もし、病院の薬が不足して入手できなくなった時は、市販薬を購入して対処しなければならない場面がやってくるかもしれません。
ですから、風邪や市販薬についても、最低限の知識、あるいは相談できるお店を見つけておくと良いと思います。
最低限の知識が、「誰でも知っている知識」や「当たり前の常識」であるとは限りません。例えば、抗生物質の知識調査を毎年行っているAMR臨床リファレンスセンター(厚労省委託事業)による今年6月の調査によると、小学生未満の子どもを持つ親の55%が「抗生物質は風邪に効く」、66%が「抗生物質はウイルスをやっつける」という誤った知識を持っていることがわかりました。抗生物質はウイルスには効かず、よって通常、風邪には効かないとされています。
https://amr.ncgm.go.jp/pdf/20230828_press.pdf
では、なぜ病院では風邪薬が処方されるのか。それには複数の理由があるためここでは割愛しますが、大事なのは、ウイルスに抗生物質は効かないということと、風邪に抗生物質は必須ではないという知識です。
風邪と薬の基礎的な知識を紹介した拙著も参考になりましたら幸いです。