『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

市販薬で発売した便秘薬「マグミット」とドッペルゲンガー【2024/2/19~2/23】のニュース】

病院で処方される便秘薬の中で、最も有名な薬「マグミット」が、2月1日に市販薬として発売されました。病院で処方される解熱薬の中で最も知名度のある「カロナール」が市販薬になったと先月お伝えしたばかり。病院の薬の有名ブランドが、立て続けに市販薬として発売されたことになります。日本のセルフメディケーションの広がりを象徴する出来事です。

さて、今回発売したマグミットは便秘に処方される薬です。その成分は「酸化マグネシウム」。腸の水分を引き寄せて便を柔らかくします。腸に刺激を与えるタイプの便秘薬と比べると、効果はマイルドで、「効きすぎて痛い!」となりにくい薬。便秘初心者にはピッタリ。

一方で、今すぐ出したい!という人には向いていません。便を柔らかくするには少し時間がかかります。私の過去の経験では効き目が出るまで1〜2日かかりました。

今回発売した製品の名前は「マグミットK」です。医療用のマグミットと区別するために、「K」の文字を入れたのでしょう。医療用のマグミットには、200mg、250mg、330mg、500mgの4種類の規格の錠剤があり、それぞれの数字は酸化マグネシウムの含有量を表しています。どの規格をどれだけ使うかは、患者さんの症状次第。一般的な基準量は1日2000mgです。330mgを1回2錠で1日3回、もしくは2000mg分を1日1回だけ飲んだりします。

では「マグミットK」の成分量はどうなっているかというと、1980mgを1日1回、寝る前服用となっています。寝る前に飲むと、翌朝にトイレでスッキリするという設計です。医療用とは異なり、定められた用法用量は1パターンだけですが、基本的な効果は同等です。今まで病院で処方されたマグミットが体に合っていると感じたかたは、市販薬を試しても良いでしょう。

ただし、なにかしらの病気で通院中の人は、事前に医師または薬剤師に相談が必要です。酸化マグネシウムは、飲み合わせに注意が必要なことがよくあります。

また、高齢者は自己判断で飲み続けないようにしましょう。腎臓の機能が低下している高齢者では、定期的な受診をせずに自己流の飲み方を続けると、血中のマグネシウムの濃度が高くなりすぎて、副作用が出やすくなる可能性があります。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000185078.pdf

マグミットが市販薬に登場したことは、大きなニュースです。とはいえ、酸化マグネシウムの便秘薬はすでにたくさんあります。菊川怜さんのテレビCMが記憶に新しい「酸化マグネシウムE便秘薬」や、大正製薬の「コーラックMg」などがあります。いずれも、マグミットKと同等の効果が期待できます。

実はマグミットKにはドッペルゲンガー(そっくりさん)が存在します。マグミットKと同等の効果が期待できる大正製薬の「コーラックMg」。何をかくそう、この薬を作っているのは、マグミットと同じ会社「マグミット製薬」なのです。それだけではありません。「コーラックMg」の説明書には製造販売元が「マグミット製薬」と書かれていますし、成分も添加物も全く同じ表記。ということは・・・同一人物!?

マグミットKとコーラックMgを比較して、値段の割安なほうを購入すればよさそうです。ご参考になさってください。

 

メディア向けの説明会も記事になっていました。「プレゼンティーズム」という概念は初めて知りました。慢性便秘症の人は年間122万円もの労働生産性の損失があるそうです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC204UU0Q4A220C2000000/

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yesnews/trend/yesnews-yes26601