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「我々は編集者にはなりたくない」とグーグルは言った

今日はブログを休みますが、ネット情報ついて一言、言いたい事があります。

「我々は編集者にはなりたくない」

つい先日、グーグルのトップが日経新聞のインタビューにこんな発言をしていました。

「検索は真実に基づいた信頼できる情報をユーザーに提供することで成り立つ。だが、我々は『編集者』にはなりたくない。我々の目標は自分たちの意見を加えることではない。ユーザーが探している情報を見つけることを手助けすることだ」

なんかカッコイイこと言ってますが、これはおかしな言い分です。グーグルは検索順位を操作できる立場にあります。ユーザーに届ける情報を取捨選択してます。優先順位をつけてます。つまりグーグルがやってることは編集という行為そのものなのです。だのに、編集者になりたくないという。じゃあ、誰が編集者なんでしょうか。

今は知りたい情報を検索しても、表示されるのは根拠が明示されてない真偽不明の情報ばかりです。このブログで「ウンザリするようなネット上の健康情報は、そろそろ撲滅させたいと思う」という記事を書いたのが2015年の1月(2年9か月前)。グーグルを日々使用していて思うのは、やっぱり変わらず不便ということ。

 

7年程前、メディア専門家のこんな話を聞いたことがあります。アメリカでは地方の新聞社がどんどん潰れた時期があった。その結果、地域の権力を監視する能力が失われ、行政による汚職や腐敗が進んだ。困った市民たちはお金を出し合い、再びメディアに調査報道を求めるようになった――。

この佳話を聞いた時、アメリカのメディアは今後こうした市民発の調査媒体が勢いを増しそうだと感じました。広告収入の激減で経営が傾く地方紙が続出する中で新しく、かつ経済合理性のある手法でした。しかし、その後、アメリカでそのようなメディアが増えているという話がぼくの耳に入ってくることはありませんでした。いまアメリカで流行しているのは、テクノロジーを用いて作られた、優れたUI(ユーザー・インターフェイス、つまり操作性)や、SNSでの拡散性の高いコンテンツを作っているメディアです。

市民たちがお金を少しずつ出し合い成功しているメディアがあるらしい。その情報は、アメリカから遠く離れた意外な場所から届きました。大口の寄付抜きで運営している韓国のニュースサイト「ニュース タパ」、クラウドファンディングで立ち上がったオランダのネットサイト「デ・コレスポンデント」たちです。いずれも、伝統的な新聞社とは異なり、広告ではなく定期購読で収益を得ながら、権力監視を目的とする報道機関として世界中のメディア関係者か注目されてます。

なぜ、メディア大国アメリカではなく、韓国やオランダといった傍流の国から、新しい収益構造を持つメディアが登場したのでしょうか。

これについて考察された文章をぼくはまだ読んだことがありませんが、メディア先進国である事と、その国のネット情報の質は比例しないと言えそうです。

 

話を戻します。どうしたらネット上で知りたい情報にたどり着けるようになるのか。真偽不明の情報まみれになっているネット空間をどうにかしたいと思う人達が多ければ、なにかしら行動に移せれば、快適なネット空間を取り戻せるはずです。これはテクノロジーや資本力よりも重要な事です。

少なくともグーグルに何かを期待するのは誤りでしょう。彼らは編集者になる気はありません。現代の編集者とは、情報を発信するぼくらだからです。

ということを、なんとなく思ったのでした。

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