医師で医療政策が専門の津川友介さんの本「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を読みました。
本書によると、健康によい食事とは①魚 ②野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない) ③茶色い炭水化物 ④オリーブオイル ⑤ナッツ類で、健康に悪いと考えられているのは、①赤い肉(牛や豚のこと。鶏肉は含まない) ②白い炭水化物 ③バターなどの飽和脂肪酸だそうです。エビデンスと呼ばれる科学的証拠もたくさん掲載されているので、説得力もあります。
ただし、ここでの”健康によい”とは、脳卒中、心筋梗塞、がんなどのリスクを下げることを指すようです。本書を読むにはある程度の精読が必要です。流し読みして「魚を食べれば病気にならないんだ!」とか、逆に「魚さえ食べれば健康になるなんてウソだろ!」とかつっぱしっちゃう人は、本書は向かないと思います。じっくり読む人向けです。
ということもありまして、この記事の一部を掲載したウェブが、軽い炎上になってます。
Yahoo!ニュースに掲載されました。コメントが800件で、それらに4000件もの「いいね」が付いているのを見て驚きました。迷っている人がそれほど多いのだと思います。
— 津川友介 (@yusuke_tsugawa) 2018年4月13日
最先端の医学では「白米は体に悪い」が常識だ(東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース https://t.co/tJPiYrbf27 @YahooNewsTopics
こまかいことはさておき、勉強になったのは、健康によいと言われる一つ一つの”成分”ではなく”食品”そのものに着眼することの大切さです。
たとえば、果物に含まれる果糖を抽出して摂取すると血糖値は上がりますが、果物をまるごと食べるとそれほど上がらないことが紹介されています。食品そのものと、それに含まれる成分を同列に語ってはいけないということです。
ドラッグストアでは、たくさんのサプリメントがあります。なかには効果のあるものもあるでしょうが、食べ物のまま摂取した方がよいものもありそうです。ドラッグストアが野菜や果物を積極的に販売し、お客はいちいち迷うことなく「あそこで売っている食べ物は体にいいものなのだ」と思っていただけるようになると店の利便性が高まると思います(エブリデー・ロー・プライスと同じ手法です)。
成分ばかりに注目することは、海外では「栄養至上主義(ニュートリショニズム)」と呼ばれているそうです。
Nutritionism - The Science and Politics of Dietary Advice | Columbia University Press
これは薬も同じですね。私の奥さんが以前、漢方薬を飲んですごく効き目を実感した時に私が「”トウキ”など婦人病に使われる生薬が入っているね」と話したら「トウキがいいのね」と言いました。私が「いや、トウキ単体でみてもダメよ・・・」と話しましたが「どの成分がいいっていってくれないとわかりにくいわ」と言われました。
そんな彼女ですが、津川さんが紹介している”健康によい食べ物”は、いずれも以前から彼女が私に「体にいいから」と勧めていたものでした。私といえば「はいはい」と聞き流していましたから、まあ、お互い様ですね。