『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

新商品が続々発表・発売。厚労省では市販薬の課題の検討会開催【2023/3/6~3/10のニュース】

今週は新商品の発売・発表が相次ぎました。

サンテの目薬「サンテメディカルプラス」が3月9日発売しました。全3種類あるサンテメディカルシリーズの後継品です。それぞれに成分を充実させたとのこと。価格はいずれも税抜1680円。

https://www.santen.co.jp/ja/news/230309.pdf

「メンソレータムカブレーナ乳液」(第二類医薬品)が20日に発売します。“おりもの”などによる、かぶれ・かゆみに向けた薬。類似薬は他にもありますが、乳液であることが特徴でしょう。主たる成分はウフェナマート。香料ありです。

フェムケア市場に新提案!痛がゆい、デリケート部位の“おりものかぶれ”に着目した皮膚用薬「メンソレータム®カブレーナ®乳液」新発売 | ロート製薬株式会社

今週一番の目玉新商品は「ロキソニンSプレミアムファイン」でしょう。3月8日発売。生理痛向けとして芍薬とヘスペリジン配合というのがメーカー説明。ロキソニンプレミアムとは異なり、眠気のでる鎮静成分は無配合。今やロキソニンは全5種類になりました。プレミアムは発売して今年で7年経とうとしていますが、未だに普通のロキソニンとの区別がついていない利用者がたくさんいます。薬剤師が販売時に使用状況や使用経験を確認をしますが、製品ごとの区別がついていないことは、詳しく質問しないと聞き出せないこともよくあります。これは、薬剤師と利用者の最初のミスコミュニケーションが、そのまま修正されずに続くケースが多いためです。「使ったことがありますか?」という薬剤師の質問に、「あります」と消費者が答えた場合、「質問はありませんか?では***円です」で済ませてしまう薬剤師がいるからです。これは業界が抱える問題の1つです。

最後は漢方薬。クラシエの漢方セラピーシリーズから「柴胡桂枝乾姜湯」が14日に発売します。虚弱向けの柴胡剤で柴胡桂枝湯に似た方剤。風邪だけでなく、神経症にも使います。構成生薬のカロコンは潤性薬で、口の渇きや空咳に良いとされています。製品の説明書にも口が乾いている人向きであるとの記載があります。

https://www.kracie.co.jp/release/10183394_3833.html

 

今週のツイッターで、ヘパリン類似物質は製品によっては目の周辺は使用できないという話がありました。これに対してメーカーの公式アカウントが、試験を行っているかどうかで記載が変わるという主旨のコメントをされていました。これは知りませんでした。なるほどです。

 

ところで今週は、厚労省で「医薬品の販売制度に関する検討会」の第二回が開催されました。テーマは濫用と、要指導医薬品の販売についてです。

全て聴き終え、こういう議論が出てきたことに感動しました。私は早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問の笠貫 宏氏の考え方に共感しました。氏の「販売体制」という言葉への違和感、「セルフケアがあって、その手段としてセルフメディケーションがある」という話、全く同意です。議論の中身は濃く、論点は妥当だと思います。下地となる検討会でこのような意見が現れているということは、今後の市販薬の使い方は大きく変わると思います。そして、笠貫氏のスライドで何度か強調されている「インフォームドチョイス」についてはよくよく考えるべき概念だと思います。特に、インフォームドチョイスに不可欠な「十分な情報提供」は、何をもって「十分な」と認めるのか。

医薬品の販売制度に関する検討会

また、笠貫氏のスライドに、スイッチOTC化への課題として、赤字でこう書かれていました。「調剤薬局・薬剤師への信頼不足(医師→OTC化反対、国民→医師受診)」耳が痛いところですが、 OTCのゲートキーパーの役割を放棄している薬剤師はいますから信頼不足と思われても仕方ないと私は思っています。その一方で、「信頼」というのは、実務能力の多寡もありますが、どちらかというと感情論や印象的な部分が大きいと思っています。後者はSNSなどを通じて、変える事ができると思ってます。私は実務では信頼性向上に取り組んでいますが、こうしてSNSもやっていますので、SNS上では、医師の信頼を少しでも得られるように努力したいと思っています。もちろん、医師に迎合するという意味ではなく、「あ、薬剤師も一定のケア役割を果たしてるんだな」と思っていただけることを目指しています。