『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

1回で治す腟カンジダ治療薬「オキナゾールL600」が発売【2023/6/26~6/31のニュース】

<下書きのまま、アップするのを忘れておりました。失礼しました>

今週のニュースです。腟カンジダ治療薬「オキナゾールL600」(オキシコナゾール)が6/30に発売されました。腟カンジダ薬は6日連続で使うの製品が多いのですが、これは1回使うだけでOK。1回タイプは他に「メンソレータム フレディCC1」(イソコナゾール)が以前からあります。両者は価格はほぼ同じです(約3000円)。

1回タイプは1回使うだけで治療が終わります。ただし、1日で症状が改善して治る、という意味ではありません。症状が改善するには数日から1週間をみます。また、オキナゾールには、「オキナゾールL100」という製品も以前からあります。使用方法がL600とは異なるのでご注意ください。これについては後ほど触れます。

https://www.mt-pharma.co.jp/news/2023/MTPC230626.html

オキシコナゾールとイソコナゾールの2剤に効果の差はあるのか。Pubmedで文献を調べましたが見つけることはできませんでした。そもそも、この2剤、特にオキシコナゾールの文献があまりありません。日本の「侵襲性カンジダ症の診断・治療ガイドライン」ではどちらも薬剤も登場しません。

イソコナゾールについては、クロトリマゾールと同等の効果を示す論文がありました。また、医療用のIFにも同様の記載があります。

1999年のレビューで、膣カンジダで使われる抗真菌薬(イソコナとオキシコナは入っていないと思われます)の単回療法を調べたところ、どれか1つが優れているということはわからなかったとしています。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10394549/

よって、状況から察するに、どちらも効果は大差ないと、今のところ考えて良いのではないでしょうか。副作用の発生も稀であり、IFを確認しても、どちらも十分なデータがない印象です。また、1回タイプと6日連続タイプの効果の差も、今回調べた限りでは判然としませんでした。

今回発売された1回タイプの「オキナゾールL600」とは別に、以前から6日連続で使用する「オキナゾールL100」という製品がありました。前者は薬剤600mgを1回で、後者は薬剤100mgを6回で使用するという意味です。

L600とL100の違いはなんでしょうか。効果と副作用の違いは判然としませんでした。サイズもほぼ同じです。ただ、制度上は、前者はネット購入不可、後者はネット購入可能です。メーカーサイトには、L100については、「毎日使いたい」人向けにように記載がありました。しかし、好きで毎日使いたい人はいるのでしょうか?

 

もう1つニュースです。花粉症薬のアレグラFXが出荷調整になって、店頭から姿を消しています。28日に久光製薬がアナウンスしました。再開は9月ごろだそうです。花粉症のピーク時期を過ぎても出荷が制限されている状況は珍しいような気がします(例年どうだったかの記憶は曖昧ですが)。

https://www.hisamitsu.co.jp/whatsnew/pdf/info_230628.pdf

 

最後に、大手薬局の日本調剤が自社の市販薬を他の薬局企業向けに販売開始しました。そうそう大量に売れるものではありませんからね。日本調剤以外の薬局でも、これらの市販薬を目にすることも出てくるかもしれません。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000261.000013551.html