『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

保湿薬のコスメ化。薬剤耐性生物には物理攻撃を【2023/6/19~6/23のニュース】

訳わからないタイトルになってしまいました。申し訳ありません。これらは2つの異なるニュースです。

まず1つめ。ライオンから「フェルゼアプレミアムHPブーストフォーム」が9/20発売します。ヘパリン類似物質、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩を配合した泡タイプの医薬品。”土台から治す””ブーストフォーム”など、まるで制度化粧品のような表現ですが、薬です。ヘパリン類似物質の製品は、コスメ寄せの製品が増えています。悪いことではないと思います。背景には、健康保険を用いてヘパリン類似物質をコスメ代わりに処方してきたという皮膚科の実態があります。不適切処方を減らし、その受け皿となっているのがこの市販薬たちです。

 

もう1つのニュースは、花王による「殺虫成分を使わずに蚊を駆除する新技術の開発」というものです。近年、殺虫成分としてよく使われてきたピレスロイド類に対する抵抗性を持ち、殺虫剤で死なない蚊が東南アジアで増加しているそうです。そこで、持続的に使用できる駆除方法として花王が開発したのが「蚊の飛行を妨げる、飛べなくする」という方法。表面張力の低い液体を蚊に付着させることで、蚊を飛べなくさせることができるというのです。さらに、昆虫は気門と呼ばれる体表面の穴を通して酸素を取り込んでいるそうなのですが、この液体によって一部の昆虫は気門がふさがれて死ぬといいます。

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1510159.html

花王のニュースリリースはこちらです。

https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230620-001/

さて、このニュースを見て、なんか似ているなと思いませんでしたか?そう、数年前に発売されたアース製薬の「シラミとりローション」です。実は、シラミも、ピレスロイド殺虫剤に抵抗力を持つのが増えているのです。そこで「シラミとりローション」は、ジメチコンで成虫や卵を包み込んで動けなくなくしたうえで、体内の水分が排出できなくさせて物理的に致死させます。これなら、薬剤が効かなくなるという心配もあまりなさそうです。

薬剤耐性に物理攻撃。今後のトレンドになるかも!?