『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

ヒアレインSが、いよいよネット販売解禁へ【2023/7/24~7/28のニュース】

今週のニュースです。25日に厚労省で開かれた薬食審で、重要な決定が2つありましたのでご紹介します。1つは、目薬の「ヒアレインS」が第一類医薬品になるという話、もう1つは「カロナール」などでお馴染みの痛み止め成分「アセトアミノフェン」の使用条件が変更になるという話です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34324.html

まず、ヒアレイン。発売後3年間の調査を経て、第一類医薬品に移行することが決まりました。移行日は9月16日になると思います。これによって、ネット通販での購入、代理購入、そして複数点数の購入が可能になります。

ここ数年の調査結果を見る限り、重篤な(重い)副作用の報告はありませんでした。発売後1年間で454のモニター施設から報告された特別調査の副作用発生率は約1%(32件)で、最も多いのは「眼そう痒感」(目のかゆみ5件)でした。また、ヒアレインSを購入したことで生じた健康へのマイナス事例も、今のところは報告がなさそうです。

副作用1%というと、かなり高いように見えるかもしれませんが、特別調査での副作用1%は、高い安全性が確認されたといえると思います。単純比較はできないものの、相場観を示すとたとえば発毛医薬品のリアップの特別調査での副作用率は8.8%、抗アレルギー薬のアゼラスチンは5.3%でした。いずれも安全性の高い製品ですが、それらよりもさらにヒアレインSは安全性が高そうです。第一類医薬品になると、1年後にはさらに薬剤師不在時でも購入できるようになります。ひょっとすると、来年には第三類になる可能性もあります。

ヒアレインSが市販薬になる時は、懸念する声もありましたし、私も心配でした。しかし、今のところ、大きな問題は起きていないようです。

ただし、だからといって、ヒアレインが全くの安全な薬と考えるには、まだ早いでしょう。上記の副作用調査は、あくまで薬剤師の管理のもとで販売した場合のデータです。店頭で薬剤師が安全確認して販売しています。また、販売点数が絶対的に少ないため、利用者の数もまだ限られています。第一類医薬品から除外された場合は、多くの目薬のように、さまざまな人がセルフで購入する人が一気に増えます。そうなったときに、現実世界でどのような問題が起きるかは、まだわかっていません。「薬剤師の確認なんていらないよ」なんていわず、もう少し待ってください。

 

続いてアセトアミノフェン。こちらは現在の医療用医薬品に記載れている「重篤な腎障害のある患者」、「重篤な心機能不全のある患者」、 「消化性潰瘍のある患者」、「重篤な血液の異常のある患者」及び「アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤による喘息発作の誘発)又はその既往歴 のある患者」の5つの禁忌事項が見直されることになりました。これらの条件は医学的に妥当とはいえず、「禁忌」(絶対ダメ)という表現は強すぎるという話です。これは確かにその通りでしょう。

会議の資料によると、「腎機能」「心不全」に関する注意事項は、アセトアミノフェンの作用機序がまだはっきりしていなかった90年代のものであり、現在は作用機序もわかりつつあり、かつ臨床上も問題にほとんどなっていません。海外でも禁忌事項にはなっていません。そのため、最新の情報に照らして更新すべきであるというわけです。

市販薬の場合は、アスピリン喘息にかかる箇所は「してはいけないこと」、血液異常の記載はなし、そのほかの3項目は「相談すること」の項目でした。医療用の見直しに伴い、市販薬の記載も変わるそうです。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001124657.pdf

 

最後に、ボタニストの会社がサツドラと組んで目薬を発売しました。面白い。これは改めて書きたいところです。

https://twitter.com/nikkeimj/status/1683205342308753408

 

<参考>

ミノキシジル調査報告

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000023431_1.pdf

アゼラスチン調査報告

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdi/12/4/12_4_168/_pdf