『家庭の薬学』

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AIによる無料角膜チェッカーと新商品「スマイル40 プレミアム ザ・ワン」【2024/2/5~2/9のニュース】

どの業界でも導入されている「AI」や「DX」といった言葉。前近代的な市販薬業界にも、最近は「AI」の文字が使われるようになりました。

ライオンは今週、AI画像解析技術を用いて目の角膜の状態を評価する「スマイル角膜チェッカー」をリリースすることを発表。3月15日からスマートフォンのカメラ機能を使って、自分の角膜と涙の状態を無料でスコア化して表示することができるそうです。これはとっても面白そう。リリースされたら是非使ってみたい。

https://www.lion.co.jp/ja/news/2024/4507

 

「スマイル角膜チェッカー」は”角膜”と”涙”の状態を総合して5段階のスコア評価をします。実はこの2つの評価項目とライオンには深いつながりがあります。

ライオンの目薬製品の特徴は、ビタミンAを配合していることです。ビタミンAには涙を安定化してくれる働きがあるとされており、角膜のダメージの修復を促すとされています。このビタミンA成分を目薬に一早く配合させたのがライオン。いまでは他メーカーの目薬にも当たり前のように配合されるようになったビタミンAですが、ライオンにはそのトップランナーとしての自負があるようです(だって、いろんなところでアピールしているもの)。

 

さて、そんなライオンが、「スマイル角膜チェッカー」と同時に、新しい目薬の発売を発表しました。3月27日発売の『スマイル40 プレミアム ザ・ワン』です。15m Lで税抜1870円。

https://www.lion.co.jp/ja/news/2024/4528

その特徴はニュースリリースによると、

「眼疲労・かすみ・充血・かゆみ」の共通原因のひとつ“角膜ダメージ”を修復し、1本でこれらすべての症状を治す

この新商品に配合されたビタミンAが角膜修復を促してくれることで、角膜ダメージからくる眼疲労・かすみ・充血・かゆみなどを抑えてくれるというものです。また、ビタミンA以外にも、各症状を緩和する成分がこれでもかというほどの数が使われています。その数、全部で12成分。

この「12」には意味があります。市販の目薬に配合できる成分は原則として12種類が上限だとされているのです。ライバルの参天製薬の商品「サンテメディカルプラス12」が12種類配合しているのも同じ理由です。私が知る限り、13種類を配合した目薬はまだみたことがありません。今後は「13種類」も登場するかもしれませんが、「スマイル40 プレミアム ザ・ワン」は現状、最も多くの種類の成分を配合した目薬と言えます。

 

既存の製品との違いも確認しておきましょう。

まず、類似の目薬は先述の「サンテメディカルプラス12」あるいは「サンテメディカルアクティブプラス」です。いずれも昨年発売した商品で、前者はビタミンAは含まず眼精疲労用向けの目薬、後者はスマイルと同じ量のビタミンAを含む9種類の成分が配合されて、年齢・乾き目からくる疲れ向けの目薬です。サンテメディカルシリーズの特徴は、このように症状タイプ別に分かれていること。これに対して、スマイルの新製品は、「ごちゃごちゃ考えず、とりあえずコレ!」というわかりやすさがあります。

スマイルシリーズの既存品との違い確認します。これまでもっともグレードが高かったのは「スマイル40プレミアムDXです」。価格はちょっと低い1500円(容量は同じ)。成分は以下の通り。

ビタミンA  35000

ビタミンE  0.045g

ビタミンB6  0.01g

コンドロイチン硫酸エステル 0.1g

タウリン 1g

Lアスパラギン酸カリウム 0.8g

ネオスチグミン 0.005g

クロルフェニラミン 0.03g

テトラヒドロゾリン 0.01g

イプシロン-アミノカプロン酸 1g

 

では、新製品の「ザ・ワン」はどうか。赤字部分が違いになります。

ビタミンA  50000

ビタミンE  0.045g

ビタミンB6  0.01g

コンドロイチン硫酸エステル 0.1g

タウリン 1g

Lアスパラギン酸カリウム 0.8g

ネオスチグミン 0.005g

クロルフェニラミン 0.03g

テトラヒドロゾリン 0.02g

イプシロン-アミノカプロン酸 1g

ベルベリン 0.015g

グリチルリチン酸二カリウム 0.25g

 

まずキモとなるビタミンAがしっかり増量されている点が最大の違いです。そのほか、血管を収縮することで目の充血を目立ちにくくする成分テトラヒドロゾリンも増量されています。新たに加わったベルベリンとグリチルリチンは炎症を抑える成分です。炎症を抑えることで、かゆみなどの不快感の軽減が期待できます。全体として、新商品のほうが成分が充実していることは間違いありません。

先述のライバル「サンテメディカルアクティブプラス」(12m Lで税抜1680円)の成分も掲載しておきます。

ビタミンA  50000

コンドロイチン硫酸エステル 0.5%

ビタミンE 0.05%

タウリン 0.5%

Lアスパラギン酸カリウム 0.5%

ネオスチグミン 0.005%

クロルフェニラミン 0.03%

イプシロン-アミノカプロン酸 2%

テトラヒドロゾリン 0.01%

角膜保護に関与するとされるビタミンAとコンドロイチンはしっかり入っていますが、眼精疲労回復に役立つとされるビタミン類や、直接的な抗炎症成分などは、スマイルと比べるとやや物足りないかもしれません。

そうした意味では、スマイル40プレミアム ザ・ワンは、少なくとも成分はライバルともしっかり差別化されている製品です。実際の効果の程度はさておき。

 

この新商品は「眼疲労・かすみ・充血・かゆみ」を1本で治せることが特徴としています。でも、この4種類すべての症状がある人は、あまり多くないと思います。少なくとも私の経験では。コスメの”イールインワン”じゃあ、あるまいし、1つでなんでも対応できるほど成分てんこ盛り、というのは、どうなのかという気持ちもあります。

ただ、目の不快感の原因が、角膜なのか、乾きなのか、癒せるものなのかは、正直、自覚症状からは判断つきにくいものではないでしょうか。そうであるならば、サンテシリーズのような「タイプ別」よりも、スマイルのこの新商品のような「全方位型」の方が使いやすいと言えるのかもしれません。

「何が原因か全然よくわからない」という人は、他の製品よりは少し高額にあるこの新商品を試すのも手かもしれません。ただ、原因を調べるための機能が「スマイル角膜チェッカー」にはあります。このチェッカーで角膜状態を調べて、スコアが低かったら、角膜は原因ではないと判断して、ビタミンなど重視の別の安価な製品でも良いかもしれません。

ご参考になさってください。