『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

ステロイドのランク表記は必要か?【2024/5/27~5/31のニュース】

「アレジオン眼瞼クリーム」という薬が先週発売されました。といっても、市販薬ではありません。病院で処方される医療用医薬品です。アレジオン眼瞼クリームは、アレルギー薬として有名なアレジオンの、「塗る」タイプの新薬です。アレルギー性結膜炎の治療薬としては、軟膏タイプの薬は世界初となるそうで、薬剤師の間で関心を集めています。

https://www.mt-pharma.co.jp/news/2024/MTPC240522_2.html

今週、薬局で患者さんにこの新薬をお渡しする機会がありました。その時初めて実物を手に取って驚いたのは、チューブに「目のまわりにぬる」と、目立つ配色で大きく書かれていたことです。もちろん、目の周りに塗る薬であることは知っていましたが、こんなふうに患者さんにとって分かりやすく書かれていることが新鮮でした。

塗り薬の医療用医薬品で、大きくて分かりやすい注意書きのある目薬は珍しいでしょう(多くの注意書きは小さな文字で読みにくい)。

そんなおり、今週のイギリスでこんな行政ニュースがありました。

https://www.gov.uk/drug-safety-update/topical-steroids-introduction-of-new-labelling-and-a-reminder-of-the-possibility-of-severe-side-effects-including-topical-steroid-withdrawal-reactions

医療用のステロイドの塗り薬に、効果の強さを4段階で示すラベルを新たに表記するというものです。ステロイドの塗り薬は、長期間使用しそれを中断した場合に、離脱症状が起きる可能性が指摘されています。離脱症状は、効果の強いものほど起きやすいことがわかっています。そこで、患者自身が薬を適切に使えるようにするため、また薬剤師が患者に説明しやすくするために、「マイルド」「中程度」「強力」「非常に強力」の4段階で表記されることになりました。

さて、日本では最近、強めのステロイド商品が増えています(「ストロングランク製品の新発売と、セルフケアの変化」)。ステロイドは薬剤師などの専門家を介さずに購入できます。そのため自己流で使う人は少なくありません。安全に使うためには英国のようなランク表記が効果的かもしれません。

私が知るかぎり、ステロイドのランクを目立つように表記している市販薬はほぼ皆無です(フルコートシリーズは外箱の一部に記載あり)。

 

※例外的に、薬剤師が創業した「ミナカラ」という会社のプライベートブランド製品で、ステロイドの強さを強調して表記していたと記憶しているのですが、ネットで見つけることができませんでした。