家庭の薬学

自分に合った市販薬を選びませんか?

「市販薬濫用問題」は、売り手だけの問題か【2024/7/8~7/12のニュース】

市販薬の売買の規制を強めるのか、強めないのか。どっちなんだい。

トー横キッズに端を発した一連の「市販薬濫用問題」は、いまや市販薬の販売規制の議論に発展している。

規制強度をめぐって綱引きを続ける厚労省と業界団体。鍔迫り合いの構図を、業界メディアの編集長の菅原幸子さんは、今月付のネット記事でこう書いている

市販薬のオーバードーズ問題に対して、厚労省としては何らかの規制強化は必要との立場だが、 “濫用薬”の対象は現在、ドラッグストアにとっても稼ぎ頭である総合感冒薬約1500品目超が対象となるため、ドラッグストア業界にとって規制強化は容易には受け入れられない。具体的には2024年1月12日公表された「とりまとめ」のうち、“濫用薬”の販売における「手の届かない場所の陳列」と「購入者情報の記録・保管」にドラッグストア業界は反対している。

6月の厚労省の部会でも、業界団体であるチェーンドラッグストア協会は、厚労省への不満を隠さなかった。部会中、市場の市販薬の99%を販売しているキープレーヤーの自分達が、部会の「委員」ではなく「参考人」扱いであることに強く反発した。立場としてはごもっとだ。ただ、同協会には、こう訊ねたい。

「では、あなたたちは、なぜ委員に選ばれなかったと思いますか?」

ともすれば、誰でも好きだなけ市販薬が買えてしまう時代。陳列や記録・保管の規制強化案が上がるほどの社会問題となってしまったのは、業界のこれまでの対策が泥縄であったことの裏返しではないのか。

 

いま起きている議論は、供給を絞るのか、緩めるのかといった規制強度の議論だ。各々の立場によって意見は二分され、構造的にいえば、この綱引きに決着はない。

利用者自身が薬のリスクを理解し、自発的に適正使用を選択できるなら、それがベストだ。外野の綱引きはいらない。リスクを知りながら濫用するケースもあるから、一定の規制が必要であることはまったく否定しないが、「市販薬で冒険主義はよくないよ」という共通認識があれば、濫用者に対する周囲の抑止力も働きやすい。濫用問題がここまで放置された理由の1つは、世間の「たかが市販薬」というリスクの過小評価にあるからだ。これはヘルスリテラシーの問題だ。

そして、私はここをなんとかしたいと思っている。

市販薬のヘルスリテラシーの一歩は、成分を知ることだ。あいまいでも、ざっくりでもいい。なんとなくわかると、まったくわからないでは、なにごとも雲泥の差だ。

たとえば、今月1日に「新コンタック総合かぜ薬エース」が新発売した。鎮咳成分はメチルエフェドリンだけの、濫用が問題になっているコデインもデキストロメトルファンも使っていない、やや珍しい風邪薬だ(ただし法令上は濫用のおそれのある製品に該当する)。咳がほとんど気にならないような風邪症状に向いている。

続いて8月1日には「新コンタックせき止め液ダブルアタック」が発売する。デキストロメトルファン+グアイフェネシンの、こちらも珍しい成分構成だ。ただし、デキストロメトルファンの1回量がわずか10mgで、これはほかの市販薬の通常量16〜30mgと比べるとやや心もとない。

売り手だけではなく、買い手も変わる必要がある。自分にあった薬を購入できるようになるヘルスリテラシーは、日々の生活に役立つ。そう考えてわたしはブログを続けている。