今週は油沼さんに漫画を作っていただきました。下記のツイートで、RT1000していただきました。ありがとうございます。油沼さんの画力が高いのでさらっと作られているように見えると思いますが、表現方法を巡って色々お話して、時間を割いた上での作品です。多くの方々に読んでいただき、とても嬉しいです。
蚊の季節になりました。
— 油沼 書籍色々発売中!!!!! (@minddive_9) 2021年7月5日
薬剤師に教わる「賢い虫よけの使い方」!@kuriedits さんにアドバイスいただいて描きました!
元記事はこちらからhttps://t.co/W305XKxCi7 pic.twitter.com/qZIdl4xgyY
せっかくなので、今週は虫除けの話を簡単に書きます。
虫除けといえば、ディートとイカリジンが主な成分です。この2つの成分のどちらかを購入すれば、虫除け対策としては間違いはないと言えるでしょう。
ただし、効果的に使っていただくためには、大切なポイントがあります。漫画でも紹介したこの2つの成分は、蚊に直接接触することで、虫除け効果を発揮すると考えられています。そのため、肌に塗りムラがあると刺されやすくなるのです。これを実際に試してみたことで、刺されにくくなったと実感するお客さんもいます。簡単に虫除け効果を高める方法といえますので、ぜひ試してみてください。
虫除け商品の成分は、ディートやイカリジン以外にもたくさんあります。そして、こういってはなんですが、効果が不明な製品もあります。日本ではあまり話題の上ることはありませんが、海外ではそうした効果に疑問符がつく製品の効果を調べた研究も報告されています(その結果、ほとんど効果のない製品も見つかりました)。
アメリカのNBCニュースが6月、「2021年版 虫除けベスト8」という記事を出していましています(8 best insect repellents of 2021: DEET and DEET-free bug spray)。ここで専門家によって推奨されているのは、米国環境保護庁に登録されている次の6成分です。
DEET(ディート)
Picaridin(イカリジンのことです)
IR3535
Oil of lemon eucalyptus
Para-menthane-diol (also referred to as PMD)
2-undecanone
記事によると、そのほか、nootkatoneというグレープフルーツのような香りのする成分が、昨年、11年ぶりに登録されたそうです。ただし、これを主としたものは、人体用の虫寄せ製品としてはまだ発売されていないとのことです。そういえば、そんなニュースがあった記憶があります。
日本ではもっぱらディートとイカリジンが主流であり、どちらもしっかりとした虫除け効果を得ることができます。
では、ディートとイカリジンでは何が異なるのでしょうか。どちらも成分の特徴ははっきり異なりますので、よく知っておく必要があります。
イカリジンは年齢制限がなく、また1日何度も塗り直しできます。一方のディートは、濃度にもよって異なる年齢制限があり、1日の塗り直し回数にも限度があります。成分の濃度によって虫除け効果の強さは変わらないと考えられていますが、効果の持続時間には影響することがわかっています。そのため、塗り直しはとても大切です。
使いやすさではディートよりもイカリジンのほうが優れていると感じるかもしれませんが、防御できる虫の範囲が広いのはディートのほうです(効果のある虫の範囲は、割と複雑なので個別の製品をよくご確認ください)。ですから、どういったシーンで、誰が使うのか、ということが、虫除けの選び方のポイントといえます。
残念ながら、製品の見た目だけでは、こうした成分の特徴はわかりにくいかもしれません。それどころか、紛らわしいデザインもあります。一例を紹介します。
今年1月にフマキラーが発売した「スキンベープミスト イカリジンプレミアム」は、従来の「天使のスキンベープミスト プレミアム」と同じイカリジン濃度ではありますが、適応害虫の表記が広がり、パッケージも大きく異なります。ややこしいのは、この新登場の「スキンベープミスト イカリジンプレミアム」のパッケージが、ディートを使った「スキンベープミストプレミアム」とまるでそっくりだということです。以下に製品写真を貼っておきます。ドラッグストアではこの2つが並んで売られていることがあります。成分も特徴も異なるって、わかるでしょうか?
意外と難しいかもしれない、虫除けの使い方、選び方のお話でした。