今週の市販薬ニュースは2つお届けします。
ロート製薬の防風通聖散が16日からリニューアル発売しました。どうせパッケージが変わっただけでしょと思ってましたが、満量処方(5000mg)のまま服用回数が1日3回から2回になりました。これはいいですね。ただし1日服用錠数は12錠のまま。ということは?1回4錠から6錠に増えました。ん?
https://www.rohto.co.jp/news/release/2023/0414_01/
ちなみに、1日3回と1日2回の違いについては、医療用医薬品を使ったこんな研究があります。
https://www.kampoyubi.jp/effort/pdf/bunken_o_02.pdf
さて、今回のリニューアルによって、医薬品の防風通聖散としては初めての「余分な糖を出す」という言葉が入ったそうです。余分な糖を出すとは、フルクトースという糖の一種の吸収を抑えるという意味です。同社は名古屋市立大学との共同研究で、防風通聖散に含まれる生薬の一つ「ダイオウ」にその効果がある可能性を示しています。
https://www.rohto.co.jp/research/researchnews/technologyrelease/2023/0421_01/
試験では、防風通聖散を投与すると、血中のフルクトースの濃度の立ち上がりが抑えられました。さらに細かく原因となる生薬の特定を試みたところ、ダイオウが糖の吸収を抑えている生薬である可能性が示唆されました。
試験自体は意味のあるものだとは思います。ただ、一般に向けたニュースリリースとはいえ、試験である以上はこれがヒト対象なのか動物対象なのかを明記しないのは、とてもよくないのではないかと思います。こういうボヤかしが、市販薬の世界ではよくあります。
元となる論文はおそらくラットとマウスを用いた、この論文だと思います。ヒト投与の場合の25倍の量を動物に投与したとあります。あくまで実験という特殊な環境で、薬理学的にそのような効果が確認できたというお話です。
また、同社が小さな注釈で明記するところでは、「糖の吸収を抑えること」を「余分な糖を出す」と表現しているそうですが、この2つの言葉が同じ意味といえるのか、どうかという点も気になります。仮に「糖の吸収を抑える」とそのままの表現ではサプリのようですし、サプリのような使い方をされてはたまったものではありません。かといって、「余分な糖を出す」というと、なんだかうまいこと吸収を自動調節してくれるような印象です。しかし、ダイオウはもともと下剤としてよく知られている生薬なので、うまく調整してくれるほど器用で都合の良い成分なんだろうか?という疑問があります。どうでしょう。
2つ目のニュースです。アリナミン製薬から総合ビタミン剤「パンビタンエース」(指定第2類医薬品)が 4/25 日に発売されると発表。「アリナミン製薬ダイレクト」でのみ取り扱う通販限定商品です。これは薬剤師仲間に教えていただいたのですが、これ、よく見ると、製造終了になった「パンビタンハイ」と同じ成分なんです。同じ成分を、こうやって名前を変えて販売するのは、どうなのでしょうか?