『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

「ヒルドイド値上げ」ちょっと窮屈な公的医療【2024/5/6~5/10のニュース】

先月下旬、こんなニュースがありました。

アトピー性皮膚炎の保湿薬「ヒルドイド」が10月に自己負担増 医療費抑制で厚労省

https://www.sankei.com/article/20240421-6ROAXOCUOBIQNJNT62ILHJUUBI/

 厚生労働省が、アトピー性皮膚炎などの治療に使われる保湿用塗り薬「ヒルドイド」の患者負担額を10月から引き上げることが、21日分かった。安価な後発品(ジェネリック)の利用を促し、医療費を抑制する狙い。 医療上の必要があると医師が判断した場合は、引き上げの対象外。ヒルドイドは美容目的での不適切な利用が増え、医療費の無駄遣いだとの批判も出ていた。

多くの報道はヒルドイドに注目して報じていますが、実は10月から患者さんの負担金が引き上げられるのはヒルドイドを含めた全1095品目。対象となる薬は、高血圧、不眠、喘息など多岐にわたります。ヒルドイドだけが”狙い撃ち”されている訳ではないのです。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001247593.pdf?_fsi=i2ks0rjF&_fsi=g40ymae8

そもそもの目的は、値段の高い先発品から、安価な後発品(ジェネリック)への切り替えを促し、医療費を抑制することです。

ふだん、病院を利用しない人にとっては、「ふーん」で終わる話。でも、年を重ねて、持病を抱えるようになった時、そこにあるのは「以前よりもちょっと窮屈な公的医療サービス」かもしれません。

いま、医療業界では、こうした変化が、少しずつ進められています。

医療費抑制の勢いに呼応するように、セルフケア、市販薬も変化しています。ヒルドイドの成分は「ヘパリン類似物質」です。市販薬には、このヘパリン類似物質の製品がたくさんあります。一昔前までは、数種類だけで、目立たない存在でした。ところが今では、冬になるとテレビCMが流れ、ドラッグストアに行けば、乾燥保湿薬の主役として大々的に展開されています。

病院の治療と市販薬は、地続きです。どちらの知識も事情も、少し頭に入っていると、生活がしやすくなると思います。