『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

ヒルドイドに「似すぎ!」と刺されたヒルマイルド。最終手段はヨルマイルドか【2021/1/18~1/22のニュース】

今週の一大事件といえばこれでしょう。 ヒルドイドの販売元のマルホは本日22日、健栄製薬のヒルマイルドについて販売差止等の仮処分命令の申立てを21日付で行ったことを発表しました。

「パクリだ!」 キンプリ永瀬廉がCM出演する薬に販売差し止め申請(東スポWeb) - Yahoo!ニュース

マルホといえば化粧品メーカーのコーセーと組んで昨年、「カルテヒルドイド」というスキンケア化粧品を発売しました。ところが、東京都から医療用医薬品のヒルドイドと似ているという理由で愛称の変更を余儀なくされるという出来事がありました。そのマルホが今度は他社の製品を、自社のヒルドイドと似ているという理由で販売差し止めを要求したというわけです。

ツイッターでの反応を見ると、消費者の中にはヒルマイルドがヒルドイドのメーカーの商品だと誤解されていた方もちらほらいました。ドラッグストア関係者にとっては当たり前の区別でも、消費者にとっては紛らわしかったようです。

対象となったヒルマイルドは、おそらくヨルマイルドに変更されると思います。いや、ヨルストロングだろう、という声もあります。すみません。冗談はさておき、ヒルマイルドの名前が可能性が出てきました。とはいえ正直、市販薬の世界ではこれくらいの似た名前の商品は、このヘパリン類似物質の製品以外にもたくさんありますので、個人的にはマルホの申し立ては驚きでした。

ヒルドイドに似た製品はヒルマイルド以外にも多々あります。ジャニーズタレントをテレビCMに起用したヒルマイルドがぶっちぎりで店頭で売れていますので、マルホはヒルドイドを問題視したのかもしれません。

 

別のニュース。シオノギヘルスケアが自社の通販サイトを22日に刷新してグランドオープンしました。「生活者に寄り添った体験型コンテンツ・サービスなどの提供を通じて、快適で居心地の良いオンライン空間を提供」とのこと。個人的に気になるのは、「虫眼鏡さんぽ」は社員が京都を紹介するという薬無関係のユニークなコンテンツです。消費者とのタッチを増やす取り組みでしょうか。面白いですね。サイトではグランドオープン記念として抽選でプレゼントキャンペーンもやっているようなので、興味ある方はご覧ください。

シオノギヘルスケアONLINE-ホーム

 

マキロンを販売する第一三共ヘルスケアが、日本初となる殺菌成分ベンゼトニウム塩化物を配合したニキビ治療薬「マキロン アクネ ージュ」を3月12日に発売予定すると発表しました。マキロンの成分ベンゼトニウムを使ったニキビ薬です。ベンゼトニウムのニキビへの効果は、Google検索ではいくつか情報がありますが、パブメドさらっと検索した限りでは論文の報告は見つかりませんでした。効果のほどは今のところ未知数です。

 

それから、これはニュースではないのですが、ぜひお伝えしておきたいことがあります。

みなさん、「のし梅」ってご存知でしょうか?和菓子なんですけど、山形県の銘菓とされています。薬の世界では梅は「烏梅」という生薬として使われます。そして薬から菓子に転じたのが山形銘菓の、のし梅。私これ好きで、ツイートしたところ、山形の老舗ののし梅メーカーの佐藤屋さんからコメントをいただきまして、それがもう圧倒的に面白かったんです!

 

 

いただいたコメントを要約すると次の通りです。

のし梅は、江戸後期の文書にはすでに山形名物として記載のあるものがある。明治期になると「のし梅」の名で博覧会や展示会に出品した記録が残るが、この頃は製法が色々だった様で酷評されているものもある。現在の製法になると、最も古い製法の記録を残しているのが佐藤屋で、明治の産業博覧会に出品した際に添えた製法が今と同じ形になっており、そういった意味では薬から今の菓子の形にした元祖の一軒と言って良いと思われる。

その後、鉄道網の発達と共に、梅園で有名な土地に製法と素材を合わせて佐藤屋のご先祖が売り込んだ記録もある。今の様に全国的に梅の有名な土地(水戸や小田原、紀州など)には「のし梅」がある様に。なお、梅園は梅の実の産地ではないので、梅の産地がそこのでなかったりもする。1600年代の殿様が文政年間(1800年代)にいた感じに受け止められる事があり、何故か佐藤屋によくお問い合わせがある。山形市内は鉄道発達以前の、お城に沿った形での通りが街の形を成している。その通り沿いに文政4年に創業したのが佐藤屋。

私が食べたのは老舗の玉屋さんののし梅で、とても美味しい上に、商品の裏にのし梅誕生エピソードが書かれています。ただ、そこに書かれている文政年間というのは1800年代になるのですが、最上義光公は1600年代の藩主なんで、そのお父様のお医者として招聘した医師が伝えた薬が由来であり、文政年間に薬屋として残っていた子孫が、菓子屋を始め、菓子として試行錯誤の上に作ったのが今の「のし梅」、というのが佐藤屋さんのお話でした。つまり、薬としての起源は1600年代で、お菓子になったのが1800年代ということかなと。ま、歴史的経緯の難しいことはわかりませんが、とにかく、のし梅は美味しいので皆さんにオススメしたいです!!