『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

中国の薬不足が日本にも影響?突然、風邪薬特需のワケ【2022/12/12~12/16のニュース】

風邪薬の需要が一気に高まってきました。風邪シーズンだから、ではありません。中国系のお客さんが、パブロンなどを買っていくのです。なんだか売れるなあと思っていたら、早速、ビジネス雑誌の記事になっていました。

中国人が「パブロンゴールド」を買い占める…中国のコロナ政策の転換で、日本の風邪薬が売り切れるナゾ(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

ジャーナリストの高口康太さんは「中国人はコロナ治療薬を自力で確保しなければいけなくなったので、日本の風邪薬に注目が集まっている。とりわけ『パブロンゴールド』が人気で、これから品薄になる恐れがある」という――。

記事によると、中国がコロナ政策を転換し、自宅療養者が増えているそう。中国国内では、鎮痛剤の品薄もあるとか。こんな記述もありました。

中国人の転売事情に詳しい、ある調査会社関係者は、「現在は削除されていますが、中国のソーシャルメディアで日本の風邪薬パブロンゴールドがコロナに効くとの投稿があったことで、買い占めの動きがあります。億単位で購入した業者が出たという話もあります」という

日本で、コロナ対策でパブロンが良いなんて言われたことは、たぶん一度もありません。私も薬剤師の立場として、コロナ対策でパブロンを勧めたことはありません。一体、どういう情報なんでしょうか。

ひょっとすると、小さなパニック状態が起きているのかもしれません。日経新聞では次のように報じられました。

風邪薬・抗原検査キットを求める人の列や、品不足でガラ空きの店舗の棚――。中国各地の薬局でのこうした光景を、現地メディアなどが連日のように伝えている。

風邪薬を手に入れろ 中国で需要急増 日本で買い占めも: 日本経済新聞

私の肌感覚としては、大正製薬の風邪薬がとにかく売れています。そして、のど飴など、喉系の薬、そして子供用の風邪薬です。もともと外国人旅行者が増えていたので、最初はインバウンド需要が戻ってきたのかなと呑気に構えていたのですが、化粧品などは全く影響はありません。医薬品だけが、大量買いの対象なのです。おそらく日本に住んでいる中国系のお客さんで、年末年始の帰省のお土産なのか、はたまた転売目的なのか、区別はつきません。点数制限はもちろんしています。来年の前半には、新しい法令によって、パブロンなどの風邪薬は、一人1点までが原則となります。薬剤師の立場としては、こうした不穏な特需にも合法的に対処できるので、いいのかなという気もします。

話をまとめると、コロナ対策に風邪薬を使うのは、ダメではありませんが、特に効果が高いということはないので、オススメしません。症状に合わせて、ピンポイントで効く薬を組み合わせた方が良いと思います。

 

最後に、もう一つ、大きなニュースです。チェーン薬局の日本調剤が、新型コロナとインフルエンザを同時に検査するキットを16日から発売しました。1回分2970円(税込)。市販の抗原検査キット(概ね1500-2000円)より若干高いです。これは市販薬ではなく、医療用の検査キットです。市販薬の販売が認めらたことに伴い、先日、医療用のキットの販売も薬局で解禁されました。市販薬の同時キットは、私が知る限りではまだ流通していません。そのため、日本調剤の同時キット発売は、市販薬よりも早い発売となりました。

 

日本調剤の全調剤薬局で新型コロナウイルスおよびインフルエンザウイルスの両抗原を検出できる医療用抗原定性検査キット販売開始|日本調剤株式会社のプレスリリース