『家庭の薬学』

自分に合った市販薬を選びませんか?

「はしかという魔物は瓶に戻すのが難しい」という話【2024/3/11~3/15】のニュース】

日本国内ではしか(麻疹/ましん)の流行が話題になっています。はしかは症状が非常に重く、死に至ることもある病気です。接触・飛沫・空気のすべての感染経路を持ち、その感染力(※基本再生産数)は新型コロナの3倍、インフルエンザの10倍とも言われています。え?コロナの3倍ってそんな馬鹿な、スカウターの故障じゃないのか?(R.I.P鳥山明)

初期症状は、高熱や倦怠感、そして3Cと呼ばれる「咳・鼻水・結膜炎(cough, coryza, and conjunctivitis)」が特徴です。麻疹といえば赤いブツブツ(皮疹)が有名ですが、皮疹が現れるのは発熱から数日経った後とされています。

参考:米国CDC https://www.cdc.gov/measles/hcp/index.html

 

「はしかという魔物がいちど瓶から出てしまうと、元に戻すのはたいへん難しくなる」

感染症が専門の医師で作家のMark Kortepeterは、今年2月の「Forbes」で麻疹をこう表現しています。

米国では昨年、日本よりも先行して米国内の麻疹の感染拡大が大きく報じられました。複数の原因が考えられるものの、Mark Kortepeterによればワクチンの接種率の低下があるようです。

「米国はかつては95%以上の集団免疫率を達成していた。しかし宗教上の理由や、ワクチン接種を受けられない免疫関連疾患を抱える人の増加、そしてとりわけワクチンに対する不信感の高まりが重なり、はしかワクチンの接種率は低下している」

麻疹は感染力が非常に高いため、95%の集団免疫率が必要であるとされています。しかし、米国の幼児園児のワクチン接種率は低下しており、近年は95%を切っています。

ワクチンへの不信感は、日本も他人事ではないでしょう。麻疹のウイルスに効く特効薬はありません。予防ワクチンが重要になります。ところが、日本でも免疫獲得が十分ではないケースがあります。それが20代後半から上の大人たちです。

麻疹のワクチンは1回接種することで95%の確率で抗体ができますが、完全に免疫をつけるためには2回接種する必要があります。日本の制度では、2000年以降に生まれた人は2回接種しています。しかし、2000年より以前は、1回接種か、接種していない世代もいるのです。ぜひ、下記のサイトでご自身の接種回数をチェックしてみてください。

https://www.vaccine4all.jp/topics_I-detail.php?tid=48

麻疹は一度でも自然感染すると、二度とかからない病気とされています。幸か不幸か、わたしは1回接種世代ですが、1歳で麻疹にかかったため、今後麻疹にかかることはなさそうです。ただ、当時は症状が重く、大学病院で治療することになり両親は大変な不安な思いをしたそうです。1950年代に生まれた私の母もまた、幼少期にかかったそうです。

「あの頃は、ワクチンなんてなかったから、みんなかかって。とても怖い病気だって言われたのよ」

と、母の回想です。

 

 

・・・・おっと、今週の市販薬の新商品情報を忘れるところでした。

1つめ。クラシエ漢方セラピーから、湿疹の漢方薬 「温清飲エキス錠J」が3/28発売。「更年期世代の肌トラブルへ」と書かれていますが、これは温清飲が四物湯と黄連解毒湯の合方だと考えると理解しやすいかもしれませんね。四物湯は婦人薬の基盤とされています。

2つめ。「ソルマック キュアールD」が3/13新発売。下痢止めのロペラミドに消化酵素と乳酸菌を配合。水無し服用可。ロペラミドは下痢止めのなかでも、効き目が高いとされている方です。ロペラミド製品は他にもありますが、+αの成分がそれぞれ異なります。下痢止め成分ロペラミドは、+αの部分が商品選びのポイントといえそうです。なお、感染性の下痢は、ロペラミドで強制的に止めると、悪化することがあるので、飲んではいけません。ご注意を。

最後に、ロキソニンの風邪薬が3/13に発売しました。このブログでは既報ですので詳細は省きます。価格は 12錠:1,518円(2日分) 24錠:2,178円(4日分)、結構いいお値段ですね。

 

drugstore.hatenablog.com

 

※基本再生産数は複数のデータがある様だが、とりあえず、ざっくり。

https://news.yahoo.co.jp/articles/885aa693c1e05135c4521fb59d78a78d653ef00c